南米チリの街・テムコにて。2012年9月のある日、突然住宅火災が発生しました。消防士たちはすぐに現場へと駆けつけます。彼らが現場に到着したとき、家屋はすでに激しく炎上しており、真っ赤な炎と黒い煙が立ち上っていました。消防隊はすぐさま応援を要請します。住人を避難させ、消火活動を続ける中で、隊員たちは、その火災現場で驚くべき光景を目にしたのです。
1匹の雌犬が子犬をくわえて…
消火活動がひと段落し、消防隊員たちが救急車へと戻ってきたとき、隊員のひとりが、よろめきながら消防車へと近づいてくる1匹の雌犬を目撃したのです。そしてその雌犬はなんと、口にまだ生後間もない子犬をくわえています。
雌犬の毛はところどころが焼け焦げ、煙のすすで黒く汚れていましたが、口にくわえていた子犬は元気な鳴き声を上げていました。よく見ると、消防車にはすでに別の子犬がいたのです。
雌犬はくわえていた子犬を消防車の中に乗せると、再び煙がくすぶる家屋へと向かっていきます。そしてしばらくすると、別の子犬をくわえて戻ってくるのです。
それは、燃えさかる家屋の中から子犬たちを助け出す、たくましい母犬の姿でした。